不動産担保ローン関連用語

根抵当権

継続的な取引によって生じる不特定の債権を担保するための仕組みをいう。契約によって極度額を定め、増減し変動する多数の債権について、極度額の範囲内で担保することができる。これらの債権は将来確定するものであるが、債権が消滅しても、根抵当権は極度額の範囲で存続することとなる。根抵当が認められるためには、担保する債権の範囲および債務者をあらかじめ定めておかなければならず、根抵当権の対象となる債権は、1)指定した特定の継続的取引契約または取引の種類から生じる債権、2)特定の原因によって継続する債権、3)手形・小切手債権に限られる。例えば、金融機関との信用取引や商社等との継続的な購入契約により生じる債権がこれに該当する。しかし、一切の債権を一括して担保するような抵当権(包括根抵当権)は認められていない。なお、根抵当の対象となっている債権が譲渡されたときには、根抵当権はこれをカバーしない(随伴しない)が、あらかじめ定めた期日の到来や取引の終了等によって元本(担保の対象となる債権)が特定されると(元本の確定)、通常の抵当権と同様、債権の移転とともに抵当権も移転することになる。

根抵当権(ねていとうけん)とは、一定の範囲内の不特定の債権を極度額の範囲内において担保するために不動産上に設定された担保物権のことである。(民法第398条の2第1項)これに対し、通常の抵当権(これを根抵当権と対比して普通抵当権と呼ぶことがある。)は特定の債権を被担保債権とする。
根抵当権は特定の債権を担保するものではないため付従性(附従性)がなく、継続的な取引関係にある当事者間に生じる債権を担保することに向いている。

例えばB会社と取引のあるA銀行が、B会社に融資することによって生じる金銭債権に、担保権の設定を受けておきたいと考えたとする。普通抵当権の設定を受けた場合、被担保債権は特定の債権なので、新たな融資債権が生じた場合には、別の抵当権の設定を受けなければならなくなる。

これでは抵当権を設定するための登記費用もばかにならないし、手間もかかる。また抵当不動産に後順位抵当権が設定されていた場合には、新たな抵当権は当該抵当権に劣後することになり、担保としての実効性にもとぼしい。

この点根抵当権であれば、根抵当権設定登記において、A B 間の銀行取引によって生じるaの債権を被担保債権としておきさえすれば極度額の範囲内で、全ての融資債権が根抵当権によって担保されるから、普通抵当権のような問題は生じない。抵当権の規定は根抵当権に規定なき事柄について適用される。

  1. 普通抵当権が特定の債権を担保するのに対して、確定前の根抵当権は、次の債権を担保する(398条の2)。
    • 特定の継続的取引契約から生じた債権
    • 一定の種類の取引から生じた債権
    • 特定の原因に基づく債権
    • 手形、小切手に係る債権
  2. 元本の確定前においては、根抵当権者と根抵当負担者の合意で根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者の変更をすることができ、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない(398条の4)。
  3. 普通抵当権の被担保債権が譲渡された場合、随伴性により抵当権も譲受人に移転するが、確定前の根抵当権の被担保債権が譲渡されても根抵当権は債権の譲受人には移転しない(随伴性がない)(398条の7第1項前段)。譲り受けた債権が根抵当権によって担保されるためには、別途、根抵当権設定者の承諾を得て根抵当権を譲渡することが必要となる。但し、根抵当権の確定後には随伴性があるので根抵当権設定者の承諾を得なくとも債権譲渡による根抵当権移転登記ができる。
  4. 普通抵当権の被担保債権について第三者による弁済があった場合には、弁済者は抵当権につき債権者に代位することができる(債務の弁済は第三者でもできるが、その債務の性質が許さない時、又は当事者(債務者)の意思に反して弁済することはできない(474条)ので、保証人以外の第三者が弁済する場合は債務者の同意を必要とする。)。確定前の根抵当権の場合には、弁済者は債権者に代位することはできない(398条の7第1項後段)。但し、根抵当権の確定後には随伴性があるので根抵当権設定者の承諾を得なくとも代位弁済による根抵当権移転登記ができる(保証人以外の第三者が弁済する場合は債務者の同意を必要とする。)。
  5. 抵当権の被担保債権について交替的債務引受(免責的債務引受)が為された場合、債務は同一性を保ったまま新たな債務者に移転することになるから、抵当権も事後、当該新債務者に対する債権を担保する(但し、債務者の意思に反して交替的債務引受(免責的債務引受)をすることはできない。)。確定前の根抵当権は、債務引受によって随伴しないので根抵当権を行使できない(398条の7第2項)。確定後の根抵当権は、交替的債務引受(免責的債務引受)が為された場合、債務が同一性を保ったまま新債務者に移転する点は同一であるが、担保提供者の協力がないと根抵当権の変更登記ができず、当該債権は根抵当権によって担保されないこととなる。担保させる場合には、根抵当権設定者の承諾を得て「債権の範囲」に「平成00年00月00日付交替的(又は免責的)債務引受契約」を追加する根抵当権変更登記をする必要がある。
  6. 抵当権の被担保債権について並存的債務引受(重畳的債務引受)が為された場合、債務は元の債務と引き受け債務と並存することになるから、抵当権は元の債務を担保するが、引受債務は担保しない。引受債務も担保したいときは、債務引受による債務者追加の変更登記をする必要がある。根抵当権の被担保債権についても、並存的債務引受(重畳的債務引受)が為された場合、債務は元の債務と引き受け債務と並存することになるから、根抵当権は元の債務を担保するが、引受債務は担保しない。引受債務も担保したいときは、根抵当権設定者の承諾を得て債務者追加及び「債権の範囲」に「平成00年00月00日付並存的(又は重畳的)債務引受契約」を追加する根抵当権変更登記をする必要がある。
  7. 債権者の交替による更改があった場合、普通抵当権では更改契約の当事者と物上保証人(担保不動産の所有者が債務者以外の者の場合のみ)の合意により、旧債務の範囲内で旧債務を担保するために設定された抵当権に新債務を担保させることができるが、根抵当権では、許されない(398条の7第3項)。
  8. 債務者の交替による更改の場合も同様に、普通抵当の場合は旧債務のために設定された抵当権に新債務を担保させることが出来るが、確定前の根抵当の場合は許されない(第398条の7第3項)。根抵当権の確定後には根抵当権設定者が債務者の場合、根抵当権を更改後の債務に移すことができる(第398条の7第3項反対解釈。債務者の交替による更改は債務者の同意がないとできない(514条)ので、債務者の同意は必要。)。根抵当権設定者が債務者以外の第三者の場合は承諾を得て根抵当権を更改後の債務に移すことができる(518条)。
  9. 確定後の根抵当権の場合には、普通抵当権と似た性質を持つが、まったく等しい訳ではない。競売配当の場合、普通抵当権で配当される部分は元本+最後の2年分の利息損害金が優先されるほか、配当時に他の担保権、税金などの配当を差し引いてもなお余剰があれば、残りの利息損害金も配当されるのに対し、確定後の根抵当権はあくまで、極度額の範囲内までである。

根抵当権の行使額を限定するための数値を極度額という(第398条の3)。その変更については、利害関係者の承諾が必要である(第398条の5)。極度額は通常は債権極度額のことをいう。債権極度額は極度額の範囲内で元本・利息損害金が担保される。根抵当権が民法で法制化される前には、元本極度額(極度額の範囲の元本を担保するとともに、その元本極度額の利息損害金まで担保する。)を設定している根抵当権もあったが、根抵当権法制化後は債権極度額のみ認められ、元本極度額の設定ができなくなったので、現存する元本極度額設定の根抵当権はわずかとなってきている。

  • 抵当不動産売買における元本極度額の適用

    保証担保差入又は第三取得者の場合は債務が極度額を超過していても元本極度額の支払いにより根抵当権が消滅する(民法398条の22)。

  • 減額請求(第398条の21)

    元本の確定後であることが必要である。

    減額の限度は、現に存する債権の額と以後2年間の利息その他の定期金、及び損害金の合計額である。

  • 確定期日

    確定期日を定める時は5年以内であることが必要である(第398条の6第3項)。

  • 確定請求

    確定期日を定めていない時は確定請求ができる。根抵当権設定者については根抵当権の設定時から3年経過後が条件であるが(第398条の19第1項)、根抵当権者についてはいつでも請求可能である(第398条の19第2項)。なお、確定すべき期日の定めがある場合はそれによる(民法第398条の19第3項)。抵当権設定者の確定請求の時は請求の時から2週間の経過により確定するが、根抵当権者の確定請求の時は請求の時に確定する。確定請求は配達証明付の内容証明で行い、相手に届く必要がある。届けば、配達証明付の内容証明を添付して単独で確定登記ができる。

    根抵当権者又は債務者の合併に際し、根抵当権設定者は、その合併のあったことを知った日から2週間以内、又は合併の日から1ヶ月以内において根抵当権の確定請求ができ、この請求があったときは、合併の時に確定したものとみなされる(第398条の9第3項、第4項、第5項)。但し、債務者の合併のときに、根抵当権設定者が債務者の場合には確定請求ができない(第398条の9第3項但し書き)。

    根抵当権者又は債務者の会社分割に際し、根抵当権設定者は、その分割のあったことを知った日から2週間以内、又は分割の日から1ヶ月以内において根抵当権の確定請求ができ、この請求があったときは、会社分割の時に確定したものとみなされる(第398条の10第3項により民法第398条の9第3項、第4項、第5項準用)。但し、債務者の会社分割のときに、根抵当権設定者が債務者の場合には確定請求ができない(第398条の10第3項により第398条の9第3項但し書き準用)。

確定事由

  1. 元本確定期日の到来(第398条の6)。
  2. 根抵当権者又は債務者の相続開始後6ヶ月以内に指定根抵当権者の合意の登記又は指定債務者の合意の登記をしない時は、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされる(第398条の8第4項)。
  3. 合併の場合の確定請求(第398条の9)。
  4. 元本確定期日の定めがない場合において、根抵当権設定者による元本確定請求の時から2週間が経過した場合(第398条の191項)。
  5. 元本確定期日の定めがない場合において、根抵当権者による元本確定請求をした場合(第398条の192項)。
  6. 根抵当権者が抵当不動産について競売・不動産収益執行・物上代位の差押を申し立て、開始決定又は差し押さえがあった時(第398条の20第1項1号)。
  7. 根抵当権者(滞納処分庁)が設定している抵当不動産に対して滞納処分による差押をした時(第398条の20第1項2号)。
  8. 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続きの開始又は滞納処分による差押があったことを知った時から2週間を経過した時。この場合に、競売手続の開始・差押が消滅した時は、確定しなかったものとみなされる。ただし、元本確定としてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得したものがいる時は確定する(第398条の20第1項3号)。
  9. 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けた時。この場合に、破産手続開始の決定の効力が消滅した時は、確定しなかったものとみなされる。ただし、元本確定としてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得したものがいる時は確定する(第398条の20第1項4号)。

以上の出典元は、ウィキペディアからです。