不動産担保ローン関連用語

契約の成立

写真イメージ:契約サイン契約は当事者の申込みと承諾の合致によって成立し、これが基本的な契約の成立形態である。
契約は、当事者間の申込みと承諾という二つの意思表示の合致によって成立する。例えば、売り手が買い手に対して「これを売ります」と言うのに対して買い手が「では、それを買います」と言えば両者の間で売買契約が成立する。日本法においてはこのように意思表示だけで契約が成立する諾成主義が原則である。これに対し、契約成立のためには一定の方式をふまなければならないという考え方ないし規範を要式主義という(例えば、保証契約は契約書がなければ成立しない、など)。
民法には申込みと承諾に関する規定があるが、主に離れた場所にいる者同士が手紙などのタイムラグが生じる方法によって契約する場合を念頭に置いている。

  • 申込み(当事者の合致する意思表示のうち、先になされたもの)
    承諾期間の定めのある申込(521条)
    期間内は、申込を取り消すことが出来ない。
    申込者が期間内に承諾の通知を受けないときは効力を失う。
    承諾期間の定めのない申込(524条)
    申込者が承諾の通知を受けるに相当な期間は撤回することが出来ない。
  • 承諾(申し込みに応じて契約を成立させる意思表示)
  • 成立時期
    通説は、隔地者間の承諾期間の定めのない申込みに対する承諾は、発信時に成立するとしている(526条1項)。

【事例問題点】
不動産の売買に当たって、正式な契約書を作成し締結するより前の段階において、「買付証明書」あるいは「売渡承諾書」のいずれかが発行されり、双方が発行・交換されたりすることが、しばしばあるが、その事実によって不動産の売買契約が成立したといえるか否か?

【事例結末】
買付証明書は、不動産の買主と売主とが全く会わず、売買について何らの交渉もしないで発行されることもある。したがって、一般に不動産を一定の条件で買い受ける旨記載した買付証明書は、これにより、当該不動産をその買付証明書に記載の条件で確定的に買い受ける旨の意思表示をしたものではなく、単に当該不動産を将来買い受ける希望がある旨を表示するものにすぎない。そして、買付証明書が発行されている場合でも、現実には、その発行者と売主とが具体的に売買の交渉をし、売買の合意が成立して、はじめて売買契約が成立するものであって、売主が買付証明書の発行者に売渡しの承諾を一方的にすることによって、直ちに売買契約が成立するものではない。このことは、不動産取引業界では、一般的に知られ、かつ、了解されている。
民法の理論では、売買契約は、諾成・不要式の契約で「売ろう」「買おう」という当事者の意思表示の合致のみで成立し、しかも契約書などの書面の作成は要しないとされているが、上記の不動産の特色からみて、そのような考えは、一般社会の通念に合致しない。一般に、不動産の売買では、売買代金やその支払時期、所有権移転登記申請の時期、引渡しの時期などの基本的条件やその他の具体的条件を話し合い、その合意に基づき売買契約書の作成、調印に至るのが通例である。このどの過程で契約の成立をみたかは、当事者の意思も勘酌しながら総合的に判断しなければならず、必ず契約書の作成、調印が必要と断ずることはできない。しかし、少なくとも買付証明書あるいは売渡承諾書の発行、交付あるいはそれらの交換がなされたというだけでは、まだ売買契約は成立していないと考えて不動産業務を進めることが必要である。